桜川 水面に落つる 涙かな

咲き誇った桜もやがて散り始め、学生たちが立ち止まってスマホをかざし、その姿を写真に収めています。

そんな様子を桜川の橋の上からぼんやりと眺めているときに、ふと

『世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし』

の句をなんとなく思い出していました。

在原業平が花見の宴で披露した歌ですね。

『よのなかに たえてさくらの なかりせば はるのこころは のどけからまし』

現代語訳:私たちのいるこの世界に、もし、桜が全く存在しなかったとしたら、春を迎える人々の心は、どれほどのどかであったことでしょうか。

本来春という季節は、百花繚乱咲き揃い、それらを見る人の心をのんびりと穏やかな気持ちにさせるはずですよね。

けれど桜に関してだけは、今か今かとその花が咲くのを心待ちにし、ようやく満開、見事に咲き誇ったことに喜んだのもつかの間、今度は散ってしまうのが気になってそわそわと落ちつかなくなります。

春の訪れを告げたと思いきや、儚く散ってゆく・・・。

人々の心を、まさに一喜一憂させる桜。

そういえば、そんなことを授業で解説していたらある女子生徒が・・・

「先生!安心してください!桜は毎年散っちゃうけど、私の美しさは変わることなく永遠です!!」😆😆😆

「お・・・おう、そうだよね・・・もちろん・・・そうだとも・・・」

気づけばまた、流れゆく水面をただただ見つめていました・・・😭